ゲイだって幸せになりたい

当時の僕 社会人 地方在住 25歳
 
はずかしながら僕は25歳まで童貞だった。
男の子どころか女の子ともやったことがないチェリーだった。

ねっからの人見知りで、コミュニケーション障害の僕が
学生時代に恋人なんて作れるはずがなかった。
ただ悶々と陰鬱な青春時代を過ごし 、気がついたら童貞のまま二十歳を過ぎ、
学生時代を終え、社会人になって気がつけば四半世紀を生きてしまった。

周りの友達はとっくの昔に恋人を作っては別れ、また作っては結婚したり子供を生んだりしていた。
自分には恋人なんて絵空事で遠い世界の出来事にしか思えなかったけど、
さすがにセックスもしないまま死ぬのは嫌だった。

だから多くのノンケの童貞がそうしてきたように、
僕も風俗に手を出すことにした。
自分でも情けないと思うが、どうしていいかわからなかったし、それしか手段はなかった。 

風俗店は前々からインターネットでさんざん調べて決めていた。
これまで何度もそのサイトを訪れては、画面上で笑うイケメンと、
安くはない料金を前に ため息ばかりついていた。
けれど今回ばかりは是が非でも童貞を捨てるという固い決心があったので、
その店のボーイの中から選びに選んで「この人は」という人に初めてを捧げることにした。

初めての風俗はとても緊張した。
電話一本かけるのも心臓がバクバクだった。

「〇〇駅の◯番出口で待っていてください。ボーイが迎えにいきます。」 
お店の場所はホームページに乗ってなくて、新規の客はそうやって店に案内される。
迎えのボーイを待ってる間も怖くてたまらなかった。
道行く人たちが僕を見てる気がした。
「気持ち悪い同性愛者が風俗を利用しようとしてる。」 
全員にそう思われてる気がした。 
迎えにきたボーイは画面で見た以上に格好よかった。
笑顔がとても素敵だ。 
この人に抱かれるんだな、と思うとよけい緊張した。

そうこうしてる間に
店に案内され、支払いを終え、ボーイに連れられ、部屋に通された。 
薄暗い、リゾートホテルみたいな部屋に通され、ボーイとふたりきりになる。
「はじめて?」「今日は仕事休み?」そんな会話をいくつか交わしたと思う。
心臓はまだばくばく言って、僕はまともに会話できなかった。
シャワーで体を洗われ、気がついたら二人とも裸でベッドの上に座っていた。
「どんなプレイがしたい?」
そう言われ、僕はなにもかも初めてだと打ち明けた。
ボーイは笑って、「初めてが僕でいいの?」と言ってキスをしてくれた。
ボーイの肌はとてもやわらかくて、男の人特有のいいにおいがした。

がっしりとした体躯につつまれて、されるがまま僕は果てた。
行為の後は、再びシャワーを浴びせられ、いくつか会話を交わした 。
 「初めてがこんなのでごめんね」
最後にボーイはそう言って笑い、抱きしめてくれると、僕を部屋から退出させた。

初めての体験はあっけなく終わった。
きっちり60分。
次の瞬間僕は電車の中にいて、頭の中はセックスでいっぱいだった。

とても気持ちよかった。
きっちり60分。
僕はセックスがしたかったんだろうか。
払ったお金以上に、喪失感が大きかった。

僕は、恋人がほしかった。
 

自分語りを始める前に、僕のことについて整理する。

僕は現在26歳のゲイだ。
当然男で、恋愛対象もセックスの対象も男の同性愛者ということだ。
こころのあり方も「男」で、女性になりたいという願望はない。
「男として男を愛したい/愛されたい」これが基本スタンス。

続いてよく聞かれるのがセックスの立ち位置 。
男役か女役か、つまりタチかネコかどっちかと言えば、
僕はネコだと思う。
僕は、男らしい男の人が好きだし、抱かれるよりも抱かれたい。
だから僕はネコなんだと思う。

出身は地方の田舎町で、幼少期は親の転勤のため都市部で暮らしていた。
中学生になる頃に再び生まれた土地へ戻り、大学で再度都会へ出る。
就職では再び実家に戻り、三年間会社勤めした後、転職してまたまた都会へ出てくる。

このように僕はこれまで何度も地方と都会を行ったり来たりして過ごしてきた。
だから、地方と都会のそれぞれの良し悪しについては心得ていると思う。
僕が今現在都会で暮らしているのは、
僕にとっては都会の方が暮らしやすいと判断したからだ。
家族や知人などの近しい人間がいない土地の方が、
ゲイとして生きるには心地いいと思った。

だいたい以上のことが、現在までの僕の簡単な経歴だ。


 

このブログは、現在26歳の僕が、
ゲイとしてのこれまでの人生を振り返ると同時に、 
今現在進行中のゲイとしての生活の出来事を綴っていく日記です。
 
現在と平行して、過去の出来事を掘り返すことで、
何か悟れるんじゃないかという自分のためのブログなので、
わざわざネットで公開するようなものじゃないのですが、
他人に理解してほしいという欲求と、
少しでも同じような気持ちのゲイの方に共感していただけたらという思いから
ブログという形で公開します。

ネットで公開する形式上、登場する人物名や出来事等は
当人とわからないように脚色しています。
要するに私小説です。 

カテゴリは「現在の日記」と「過去のできごと」と
この記事のような「日記以外」との三つに分けて作成していきます。
「現在の日記」についてはだいたい投稿日時順の時系列です。
「過去のできごと」については時系列がバラバラです。
最終的にひとつの読み物として完成できたらと思っています。

以上の点を踏まえてお読みいただければと思います。 

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